FX(外国為替証言拠金取引)の世界で、多くのトレーダーから絶大な支持を集めている取引プラットフォームが「MT4(メタトレーダー4)」です。高機能でありながら無料で利用でき、そのカスタマイズ性の高さから、初心者からプロのトレーダーまで幅広く活用されています。
しかし、「MT4という名前は聞いたことがあるけど、具体的に何ができるのかよくわからない」「使い方が難しそう」と感じている方も少なくないでしょう。
この記事では、MT4の基本的な知識から、具体的な機能、メリット・デメリット、さらには後継バージョンであるMT5との違いまで、網羅的に解説します。また、PC版・スマホアプリ版それぞれの始め方や使い方、そしてMT4が利用できるおすすめの国内FX会社まで詳しく紹介します。
この記事を読めば、MT4の全貌を理解し、自信を持ってFX取引を始めるための一歩を踏み出せるようになるでしょう。
目次
MT4(メタトレーダー4)とは
まずはじめに、MT4がどのようなツールなのか、その基本的な概要から解説します。MT4は単なる取引ツールではなく、世界中のトレーダーにとって不可欠なプラットフォームとしての地位を確立しています。その背景には、開発元の歴史と、グローバルスタンダードたる所以があります。
ロシアのメタクオーツ社が開発した取引ツール
MT4(MetaTrader 4)は、2005年にロシアのMetaQuotes Software Corp.(メタクオーツ社)によって開発された、FX取引のための高機能プラットフォームです。メタクオーツ社は、金融市場向けのソフトウェア開発を専門とする企業であり、MT4はその代表的な製品として世界中に普及しました。
開発当初から、MT4はトレーダーが必要とする機能を網羅することを目指していました。リアルタイムでの為替レート表示やチャート分析はもちろんのこと、発注機能、口座管理、そして独自のプログラミング言語を用いた自動売買機能など、トレーディングに関わるあらゆる操作を一つのプラットフォームで完結できる点が画期的でした。
このツールの普及モデルも独特です。メタクオーツ社は、MT4のソフトウェアライセンスを世界中のFX会社(ブローカー)に提供します。そして、各FX会社は自社の取引サーバーとMT4を接続し、顧客であるトレーダーに無料で提供するという仕組みです。これにより、トレーダーは高性能な取引ツールを無料で利用できる一方、FX会社は自社のサービスに顧客を呼び込むことができるという、双方にとってメリットのあるエコシステムが構築されました。
このビジネスモデルが功を奏し、MT4は特定のFX会社に縛られない「業界標準」のツールとして急速に広まっていきました。日本国内でも、2000年代後半から多くのFX会社がMT4の導入を開始し、現在では主要な選択肢の一つとして定着しています。
世界中のトレーダーが利用するFX取引プラットフォーム
MT4が単なる「取引ツール」ではなく「プラットフォーム」と呼ばれる理由は、その圧倒的な普及率と拡張性にあります。現在、世界中の数百社にのぼるFX会社がMT4を採用しており、数百万人のトレーダーが日々このプラットフォームを利用して取引を行っています。
なぜMT4はこれほどまでに世界中のトレーダーから支持されているのでしょうか。その理由は主に以下の3点に集約されます。
- 圧倒的な機能性と分析能力
MT4には、移動平均線やボリンジャーバンド、RSIといった主要なテクニカル指標が50種類以上も標準搭載されています。また、ラインや図形を描画するツールも豊富で、プロのトレーダーが行うような高度なテクニカル分析を誰でも簡単に行うことが可能です。複数のチャートを同時に表示し、異なる時間足や通貨ペアを比較分析することも容易です。 - 無限の拡張性を誇るカスタマイズ機能
MT4の最大の特徴ともいえるのが、その高いカスタマイズ性です。チャートの色やレイアウトを自分好みに変更できるのはもちろんのこと、「カスタムインジケーター」や「EA(エキスパートアドバイザー)」と呼ばれるプログラムを追加することで、機能を無限に拡張できます。これらは世界中の開発者によって作成・公開されており、無料で手に入るものから高性能な有料のものまで、膨大な数が存在します。これにより、自分だけのオリジナルの取引環境を構築できます。 - 自動売買(EA)への対応
MT4は、EA(エキスパートアドバイザー)と呼ばれる自動売買プログラムを利用できる点が大きな魅力です。EAを使えば、あらかじめ設定した取引ロジックに基づいて、24時間システムが自動で売買を繰り返してくれます。仕事中や就寝中など、チャートを見られない時間帯でも取引チャンスを逃さないため、多くのトレーダーに活用されています。
これらの特徴により、MT4は初心者にとっては「FX分析の教科書」として、上級者にとっては「取引戦略を実現するための工房」として機能します。世界共通のプラットフォームであるため、インターネット上には膨大な量の情報やノウハウ、コミュニティが存在し、学習や情報収集がしやすい点も、世界中で利用される大きな要因となっています。
MT4でできること
MT4が世界標準のプラットフォームとして君臨している理由は、その多機能性にあります。ここでは、MT4を使うことで具体的に何ができるのか、主要な4つの機能に焦点を当てて詳しく解説します。これらの機能を理解することで、MT4がいかに強力なトレーディングツールであるかが分かるでしょう。
高機能なチャートでのテクニカル分析
FX取引で利益を上げるためには、過去の値動きを分析し、将来の価格変動を予測する「テクニカル分析」が不可欠です。MT4は、このテクニカル分析を行うための機能が非常に充実しており、プロのトレーダーが求める水準の分析を誰でも行うことができます。
まず、チャートの表示形式が豊富です。一般的に使われる「ローソク足」はもちろん、欧米で人気の「バーチャート」、値動きのトレンドを視覚的に捉えやすい「ラインチャート」など、基本的な表示形式を瞬時に切り替えることが可能です。
次に、テクニカル指標(インジケーター)の豊富さが挙げられます。
- トレンド系指標:相場の方向性を示すもので、「Moving Average(移動平均線)」や「Bollinger Bands(ボリンジャーバンド)」「一目均衡表」などが標準で搭載されています。
- オシレーター系指標:相場の買われすぎ・売られすぎを示すもので、「RSI(相対力指数)」や「MACD(マックディー)」「Stochastics(ストキャスティクス)」などが利用できます。
これらのインジケーターは、合計で50種類以上も標準で用意されており、チャート上にドラッグ&ドロップするだけで簡単に表示できます。各インジケーターのパラメータ(期間設定など)も自由に変更できるため、自分の取引戦略に合わせた細かな調整が可能です。
さらに、分析を補助する描画ツールも充実しています。トレンドの方向性や支持線・抵抗線を見つけるための「トレンドライン」、フィボナッチ比率を用いて押し目や戻りの目標価格を予測する「フィボナッチ・リトレースメント」、特定の価格帯を強調する「四角形」やメモを書き込める「テキスト」など、20種類以上の描画ツールが使えます。
これらの機能を駆使することで、複数のインジケーターや描画ツールを組み合わせた複合的な分析が可能となり、より精度の高い相場予測を目指すことができます。
カスタムインジケーターの追加
MT4の標準機能だけでも高度な分析が可能ですが、その真価は「カスタムインジケーター」を追加できる点にあります。カスタムインジケーターとは、世界中のプログラマーやトレーダーが独自に開発した、標準搭載されていないオリジナルのテクニカル指標のことです。
例えば、以下のようなカスタムインジケーターが存在します。
- 複数の時間足の移動平均線を一つのチャートに表示するインジケーター
- 主要な経済指標の発表時刻をチャート上に表示してくれるインジケーター
- 特定のチャートパターン(例:ダブルトップ、ヘッドアンドショルダー)が形成された際にアラートで知らせてくれるインジケーター
- 通貨ペアごとの強弱をランキング形式で表示するインジケーター
これらのカスタムインジケーターは、インターネット上で数えきれないほど配布・販売されています。有志が無料で公開しているものもあれば、プロのトレーダーが開発した高性能なものが有料で販売されていることもあります。
この機能により、トレーダーは自分の取引手法や分析スタイルに完璧に合致したツールを探し出し、MT4に追加することが可能です。標準機能にはない、かゆい所に手が届くようなインジケーターを見つけることで、分析の効率や精度を劇的に向上させることができます。MT4は、いわば「拡張する取引ツール」であり、その可能性は無限大と言えるでしょう。
EA(エキスパートアドバイザー)による自動売買
MT4を象徴する機能が、EA(Expert Advisor)を用いたシステムトレード、いわゆる「自動売買」です。EAとは、「買い」や「売り」の条件をプログラミングした自動売買プログラムのことで、これをMT4に設定しておくと、そのロジックに従って24時間自動で取引を行ってくれます。
自動売買には、以下のような大きなメリットがあります。
- 24時間取引チャンスを逃さない:為替市場は24時間動き続けていますが、人間が常にチャートを監視することは不可能です。EAを使えば、仕事中や睡眠中でもシステムが取引機会を捉えてくれます。
- 感情に左右されない取引:裁量トレードでは、「もっと利益が伸びるかもしれない(利確できない)」「損失を取り戻したい(損切りできない)」といった感情が判断を鈍らせることがあります。EAは決められたルールにのみ従って淡々と取引を繰り返すため、感情の介入を完全に排除できます。
- 過去のデータで検証可能:MT4には「ストラテジーテスター」という機能があり、EAが過去の相場でどのようなパフォーマンスを上げたかを検証(バックテスト)できます。これにより、そのEAが自分の期待する成果を上げられる可能性があるかどうかを、実際の資金を投入する前に確認できます。
カスタムインジケーターと同様に、EAも世界中で数多く開発されており、無料のものから数十万円する高性能なものまで様々です。自分のリスク許容度や投資スタイルに合ったEAを見つけて運用することで、FX取引の新たな可能性が広がります。
多様な注文方法
取引の入口と出口となる「注文」機能も、MT4は非常に高度です。基本的な注文方法はもちろん、より戦略的な取引を可能にする特殊な注文方法にも対応しています。
注文方法 | 内容 |
---|---|
成行注文 | 現在の市場価格で即座に売買する最も基本的な注文。 |
指値注文 (Limit Order) | 現在よりも有利な価格(安く買う、高く売る)を指定して発注する注文。 |
逆指値注文 (Stop Order) | 現在よりも不利な価格(高く買う、安く売る)を指定して発注する注文。トレンドフォローや損切りに利用。 |
OCO注文 (One Cancels the Other) | 指値注文と逆指値注文を同時に出し、一方が約定するともう一方が自動的にキャンセルされる注文。利益確定と損切りを同時に設定する場合に便利。 |
IFD注文 (If Done) | 新規注文が約定したら、そのポジションに対する決済注文(指値または逆指値)が自動的に有効になる注文。 |
IFO注文 (If Done OCO) | IFD注文とOCO注文を組み合わせたもの。新規注文が約定したら、決済のOCO注文(利益確定の指値と損切りの逆指値)が自動的に有効になる、最も高機能な注文方法。 |
これらの多様な注文方法を使いこなすことで、リスク管理を徹底しながら、計画的なトレードを実行できます。 例えば、IFO注文を使えば、新規エントリーと同時に利益確定の目標価格と損切りの価格を設定できるため、一度注文を出してしまえば、あとは相場がどちらに動いても自動的に決済されます。これにより、チャートに張り付いていなくても、安心してポジションを管理することが可能になります。
MT4を利用する5つのメリット
MT4が世界中のトレーダーに選ばれ続けるのには、明確な理由があります。ここでは、MT4を利用することで得られる具体的な5つのメリットを掘り下げて解説します。これらのメリットを理解すれば、なぜ多くの人が他のツールではなくMT4を選ぶのかが納得できるはずです。
① 無料で高機能なツールが使える
最大のメリットは、これほど高機能な取引プラットフォームを完全に無料で利用できる点です。 通常、プロ仕様の金融分析ソフトウェアは、月額数万円、あるいは年間数十万円といった高額な利用料がかかることが少なくありません。しかし、MT4は対応しているFX会社の口座を開設すれば、誰でも無料でダウンロードして利用を開始できます。
この「無料」が実現している背景には、前述したビジネスモデルがあります。開発元であるメタクオーツ社がFX会社にライセンスを提供し、FX会社がそのコストを負担して顧客に提供する形をとっているため、エンドユーザーである私たちトレーダーに費用は一切かかりません。
このおかげで、FXを始めたばかりの初心者でも、投資資金をツールの利用料に割くことなく、いきなりプロと同じレベルの分析環境を手にすることができます。これは、他の金融商品への投資では考えられないほどの大きなアドバンテージです。初期投資を抑えつつ、最高の環境でスタートできることは、FX取引における成功の可能性を大きく高める要因となります。
② 50種類以上のテクニカル指標を標準搭載している
テクニカル分析はFX取引の根幹をなす要素ですが、その質は利用できるテクニカル指標の数と種類に大きく左右されます。その点、MT4は50種類以上ものテクニカル指標を標準で搭載しており、あらゆる分析ニーズに応えることができます。
具体的には、以下のようなカテゴリーの指標が網羅されています。
- トレンド系:相場の大きな流れを掴むための「移動平均線」「ボリンジャーバンド」「一目均衡表」「パラボリックSAR」など。
- オシレーター系:相場の過熱感(買われすぎ・売られすぎ)を判断するための「RSI」「ストキャスティクス」「MACD」「CCI」など。
- ボリューム系:取引量から相場の勢いを測る「Volumes」「On Balance Volume」など。
- ビル・ウィリアムズ系:独自の理論に基づいた「アリゲーター」「オーサム・オシレーター」など。
これだけの指標が最初から揃っているため、トレーダーは自分の戦略に合わせて様々な指標を試し、最適な組み合わせを見つけ出すことができます。例えば、「トレンド系指標で大きな流れを把握し、オシレーター系指標でエントリーのタイミングを計る」といった王道の分析手法も、MT4上ですぐに実践可能です。FX会社独自のシンプルなツールでは数種類から十数種類の指標しか搭載されていないことも多く、この指標の豊富さはMT4の大きな強みと言えます。
③ カスタマイズ性が高くオリジナルの設定が可能
MT4は「自分だけの最強の取引ツール」を作り上げることができる、非常に高いカスタマイズ性を備えています。画一的なインターフェースを使い続けるのではなく、自分の好みやトレードスタイルに合わせて、分析環境を徹底的に最適化できます。
具体的にカスタマイズできる項目は多岐にわたります。
- チャートの見た目:背景色、ローソク足の色(陽線・陰線)、グリッドの表示/非表示、各種ラインの色や太さなどを自由に変更できます。例えば、「上昇トレンドは青、下降トレンドは赤」といったように、視覚的に分かりやすい配色に設定することで、瞬時の判断を助けます。
- 画面レイアウト:複数のチャートウィンドウの大きさや配置を自由に変更し、自分が見やすいレイアウトを作成できます。例えば、ドル円の4時間足、1時間足、15分足、5分足を同時に並べて表示し、長期から短期までのトレンドを一度に把握する「マルチタイムフレーム分析」も簡単に行えます。
- 定型チャートの保存:気に入ったインジケーターの組み合わせや配色設定を「定型チャート」として保存できます。一度保存しておけば、他の通貨ペアのチャートを開いた際にワンクリックで同じ設定を呼び出すことができ、分析の準備時間を大幅に短縮できます。
- オブジェクトの編集:トレンドラインやフィボナッチなどの描画ツールも、色や線の種類、表示レベルなどを細かく設定可能です。
これらのカスタマイズ機能により、使い込むほどに手に馴染み、思考を妨げないストレスフリーな分析環境を構築できるのが、MT4の大きな魅力です。
④ EA(自動売買プログラム)が豊富にある
感情を排したシステム的な取引を実現する「自動売買」は、多くのトレーダーにとって魅力的な選択肢です。MT4は、この自動売買を行うためのEA(エキスパートアドバイザー)が世界で最も豊富に存在するプラットフォームです。
MT4が長年にわたってデファクトスタンダード(事実上の標準)であり続けた結果、世界中の開発者がMT4向けのEAを開発・公開してきました。そのため、インターネット上には、無料で入手できるシンプルなEAから、専門家が開発した数十万円もする高度なEAまで、まさに星の数ほどの選択肢が存在します。
- 取引スタイルで選ぶ:短時間で小さな利益を積み重ねる「スキャルピング型」、数日から数週間にわたってポジションを保有する「スイングトレード型」、トレンドの発生を捉えて大きく利益を狙う「トレンドフォロー型」など、様々なロジックのEAがあります。
- 対応通貨ペアで選ぶ:ドル円やユーロドルといったメジャー通貨ペアに特化したEA、あるいは複数の通貨ペアを監視してチャンスを探すEAなど、対象とする市場も様々です。
- リスク・リターンで選ぶ:ハイリスク・ハイリターンを狙う攻撃的なEA、ドローダウン(一時的な資産の減少)を抑え、安定した運用を目指す保守的なEAなど、リスク許容度に合わせて選ぶことができます。
これだけ選択肢が豊富であるため、プログラミングの知識が全くなくても、自分の投資方針に合ったEAを見つけ出し、すぐに自動売買を始めることが可能です。
⑤ デモトレードで操作の練習ができる
どれだけ高機能なツールでも、いきなり自己資金を使って操作するのは不安が伴います。その点、MT4を提供するほとんどのFX会社は、仮想の資金を使って本番とほぼ同じ環境で取引の練習ができる「デモ口座」を用意しています。
デモトレードには、以下のようなメリットがあります。
- ノーリスクで操作に慣れる:MT4は多機能な分、最初は操作に戸惑うかもしれません。デモ口座を使えば、発注や決済、インジケーターの設定といった基本操作を、資金を失うリスクなく心ゆくまで練習できます。
- 取引手法の検証:自分で考えた取引ルールや、本で学んだテクニカル分析の手法が、実際の相場で通用するのかを試すことができます。思うような結果が出なければ、改善を重ねて再度検証するといった試行錯誤が可能です。
- EAのテスト運用:興味のあるEAを見つけた際に、いきなり本番口座で稼働させるのは危険です。まずはデモ口座で一定期間稼働させ、そのEAの癖やパフォーマンス(利益率、ドローダウンなど)を確認することが、EA運用で成功するための鉄則です。
このように、デモトレードはMT4を使いこなす上で不可欠なステップです。本番の前に十分な練習と検証を重ねることで、自信を持ってリアルマネーでの取引に臨むことができます。
MT4を利用する3つのデメリット・注意点
MT4は非常に優れたプラットフォームですが、万能というわけではありません。メリットだけでなく、デメリットや利用する上での注意点も正しく理解しておくことが、後悔しないツール選びにつながります。ここでは、MT4を利用する際に知っておくべき3つのポイントを解説します。
① 操作に慣れるまで時間がかかる
MT4の最大のメリットである「高機能性」は、裏を返せば「複雑さ」にもつながります。特に、FX初心者や、これまでFX会社が提供するシンプルで直感的な取引ツールしか使ったことがない方にとっては、MT4のインターフェースは最初は少し難解に感じられるかもしれません。
例えば、以下のような点で戸惑う可能性があります。
- 画面構成:チャート画面の他に、「気配値表示」「ナビゲーター」「ターミナル」といった複数のウィンドウで構成されており、それぞれがどのような役割を持っているのかを理解する必要があります。
- 注文方法:発注する際には、ロット数(取引数量)や損切り(ストップロス)、利益確定(テイクプロフィット)などを専用のウィンドウで入力する必要があり、ワンクリックで発注できるようなシンプルなツールに比べると手順が多く感じられます。
- インジケーターやEAの導入:カスタムインジケーターやEAを導入するには、指定のフォルダにファイルをコピーし、MT4を再起動するといった、ある程度のPC操作の知識が求められます。
もちろん、一度覚えてしまえば問題なく操作できるようになりますが、そこに至るまでにはある程度の学習期間が必要です。前述の「デモトレード」を活用して、じっくりと操作に慣れる時間を確保することが重要です。手軽さやシンプルさを最優先するトレーダーにとっては、学習コストがデメリットと感じられる可能性があります。
② FX会社によって取引条件や仕様が異なる
MT4は世界共通のプラットフォームですが、その上で提供される取引サービスの内容は、利用するFX会社によって大きく異なります。「どのFX会社でMT4を使うか」によって、トレーダーの損益に直接的な影響が及ぶため、会社選びは非常に重要です。
具体的にFX会社ごとに異なる主な項目は以下の通りです。
比較項目 | 内容 | 重要性 |
---|---|---|
スプレッド | 売値と買値の差であり、実質的な取引コスト。スプレッドが狭いほど有利。 | 非常に高い。取引回数が増えるほど影響が大きくなる。 |
約定力 | 注文が意図した価格で成立する能力。約定力が低いとスリッページ(価格のズレ)が発生しやすい。 | 非常に高い。特にスキャルピングやEA利用時に重要。 |
取扱通貨ペア | 取引できる通貨ペアの種類と数。マイナー通貨を取引したい場合は要確認。 | 高い。取引対象の選択肢に直結する。 |
サーバーの安定性 | サーバーがダウンしたり、動作が重くなったりすると、取引機会の損失につながる。 | 高い。安定した取引環境の基盤となる。 |
利用できるEA/インジケーター | FX会社によっては、特定のEAの利用を制限していたり、独自の便利なインジケーターを提供していたりする。 | 中程度。特定のツールを使いたい場合は要確認。 |
最小取引単位 | 1,000通貨単位から取引できるか、10,000通貨単位からかなど。少額から始めたい場合に重要。 | 中程度。資金管理の柔軟性に関わる。 |
このように、同じMT4というガワを使っていても、中身のエンジン(取引条件)は全くの別物です。「A社では勝てたEAが、B社ではスプレッドが広くて勝てない」といった事態も十分に起こり得ます。 そのため、MT4を始める際は、プラットフォームの機能だけでなく、それを提供するFX会社のサービス内容を慎重に比較検討する必要があります。
③ 裁量トレードには向かないという意見もある
MT4は分析や自動売買には非常に強力なツールですが、瞬間的な判断が求められる高速な裁量トレード、特にスキャルピング(数秒から数分で売買を繰り返す手法)においては、必ずしも最適とは言えないという意見もあります。
その理由としては、主に以下の点が挙げられます。
- 発注スピード:新規注文ウィンドウを開き、ロット数などを入力してから発注、というプロセスは、ワンクリックで即時発注できるFX会社独自のツールに比べてタイムラグが生じがちです。コンマ1秒を争う取引では、この差が命取りになることがあります。
- チャート上からの発注機能:近年、多くのFX会社独自ツールでは、チャート上をクリックするだけで発注や決済ができる機能が標準搭載されています。MT4にも同様の機能(ワンクリックトレード)はありますが、操作性やレスポンスの面で独自ツールに分があると感じるトレーダーもいます。
- 板情報(オーダーブック)の非表示:MT4では、他のトレーダーがどの価格帯にどれくらいの注文を入れているかを示す「板情報」を見ることができません。これを参考に取引するトレーダーにとっては、大きなデメリットとなります。(※後継のMT5では表示可能)
こうした理由から、一部のトレーダーは「分析は高機能なMT4で行い、実際の発注はレスポンスの良いFX会社の独自ツールで行う」というように、ツールを使い分ける戦略をとっています。MT4を万能ツールと過信するのではなく、その得意・不得意を理解し、自分のトレードスタイルに合っているかどうかを見極めることが大切です。
MT4とMT5の違い
MT4には「MT5(メタトレーダー5)」という後継バージョンが存在します。名前が似ているため、単純にMT5の方が優れていると思われがちですが、実際にはそれぞれに特徴があり、現在もなおMT4が広く使われ続けています。両者の違いを正しく理解し、自分にはどちらが合っているのかを判断しましょう。
比較項目 | MT4(MetaTrader 4) | MT5(MetaTrader 5) |
---|---|---|
動作スピード | 32bitアプリケーション | 64bitアプリケーション(より高速) |
プログラミング言語 | MQL4 | MQL5 |
EA・インジケーター互換性 | 豊富(MT5用は使用不可) | 互換性なし(MT4用は使用不可) |
時間足の種類 | 9種類 | 21種類 |
標準インジケーター数 | 30種類 | 38種類 |
描画ツール数 | 24種類 | 44種類 |
板情報(気配値) | 表示不可 | 表示可能 |
動作スピード
MT5は64bitネイティブのアプリケーションとして設計されているのに対し、MT4は32bitアプリケーションです。 これにより、MT5はより多くのメモリを効率的に利用でき、複雑なEAのバックテストや複数のチャートを同時に処理する際のパフォーマンスがMT4よりも優れています。特に、膨大な過去データを用いた詳細なバックテストを行う際には、MT5の高速処理が大きなメリットとなります。大量の計算を必要とするような高度な分析を行うトレーダーにとっては、MT5の動作スピードは魅力的です。
標準搭載のインジケーターや描画ツール数
純粋な分析ツールのスペックとしては、MT5がMT4を上回っています。MT5には38種類のテクニカル指標と44種類の描画ツールが標準で搭載されており、それぞれMT4の30種類、24種類よりも多くなっています。これにより、より多彩な角度からのテクニカル分析が可能になります。標準機能の範囲内で、より幅広い分析手法を試したいという方にはMT5の方が適していると言えるでしょう。
時間足の種類
時間足の豊富さもMT5の大きなメリットです。MT4で利用できる標準の時間足は「1分、5分、15分、30分、1時間、4時間、日足、週足、月足」の9種類です。これに対して、MT5では、これに加えて「2分、3分、10分、20分、2時間、6時間、8時間、12時間」といったマニアックな時間足を含む合計21種類が利用できます。より細かな時間軸で分析したいトレーダーや、独自の周期で相場を捉えたいトレーダーにとって、この選択肢の多さは大きな武器となります。
EAやカスタムインジケーターの互換性
これがMT4とMT5を分ける最も重要な違いであり、未だに多くのトレーダーがMT4を使い続ける最大の理由です。 MT4は「MQL4」、MT5は「MQL5」という、それぞれ異なるプログラミング言語で開発されています。この二つの言語に互換性はないため、MT4用に作られた膨大な数のEAやカスタムインジケーターは、MT5では一切動作しません。
MT4には十数年にわたる歴史の中で蓄積された、世界中の開発者による無数のEAやインジケーターという巨大な資産があります。一方で、MT5は登場してから時間が経ったものの、対応するEAやインジケーターの数は未だにMT4に及びません。
したがって、「豊富な選択肢の中から自分に合ったEAやカスタムインジケーターを見つけて利用したい」と考えているトレーダーにとっては、現状ではMT4の方が圧倒的に有利な選択肢となります。 ツールとしての基本性能はMT5が上ですが、エコシステムの成熟度という点では、依然としてMT4に軍配が上がるのです。この点が、MT4が「過去の遺物」ではなく、今なお現役の王者として君臨し続ける理由です。
【PC版】MT4の始め方と基本的な使い方7ステップ
ここからは、実際にPCでMT4を使い始めるための具体的な手順を7つのステップに分けて解説します。一見複雑に思えるかもしれませんが、手順通りに進めれば誰でも簡単にセットアップできます。まずはデモ口座で試してみるのがおすすめです。
① MT4対応のFX会社で口座開設する
MT4を利用するためには、まずMT4を提供しているFX会社の取引口座が必要です。国内の多くのFX会社がMT4に対応していますが、それぞれスプレッドや通貨ペア、サポート体制などが異なります。後述する「MT4対応のFX会社を選ぶ際の4つのポイント」を参考に、自分に合った会社を選び、公式サイトから口座開設を申し込みましょう。
申し込み後、本人確認書類の提出などを経て、数日〜1週間程度で口座開設が完了し、ログインIDやパスワード、サーバー情報などが通知されます。
② 公式サイトからMT4をダウンロードする
口座開設が完了したら、そのFX会社の公式サイトにアクセスします。サイト内の「取引ツール」や「ダウンロード」といったメニューから、MT4のダウンロードページを探します。通常、「Windows版」「Mac版」などの選択肢がありますので、お使いのPCのOSに合ったものをクリックして、インストール用のファイル(通常は.exe
形式)をダウンロードします。必ず口座を開設したFX会社のサイトからダウンロードするようにしてください。 他のサイトからダウンロードすると、サーバー情報が異なりログインできない可能性があります。
③ ダウンロードしたファイルでインストールする
ダウンロードしたインストールファイル(例:oandajp4setup.exe
など)をダブルクリックして実行します。
インストールウィザードが起動したら、画面の指示に従って進めます。通常は、「次へ」をクリックしていくだけで問題ありません。使用許諾契約の画面が表示されたら、内容を確認して同意にチェックを入れます。インストール先フォルダの指定もできますが、特に理由がなければデフォルトのままで大丈夫です。インストールが完了すると、デスクトップにMT4のショートカットアイコンが作成されます。
④ MT4を起動してログインする
デスクトップに作成されたMT4のアイコンをダブルクリックして起動します。初回起動時には、取引サーバーへのログイン画面が表示されます。ここに、FX会社から通知された「ログインID(口座番号)」「パスワード」「取引サーバー名」を正確に入力します。
サーバー名は、プルダウンメニューから選択する形式になっていることが多いです。「リアル口座」「デモ口座」などでサーバーが分かれている場合があるので、間違えないように注意しましょう。入力が完了し、「ログイン」ボタンをクリックすると、サーバーとの接続が開始されます。画面右下に「回線不通!」や「無効な口座」と表示されていなければ、正常にログインできています。
⑤ チャートを表示・カスタマイズする
ログインが完了すると、デフォルトでいくつかのチャートが表示されます。まずは、自分が取引したい通貨ペアのチャートを表示させてみましょう。
画面左上の「ファイル」メニューから「新規チャート」を選択し、表示されたリストから希望の通貨ペア(例:USDJPY)をクリックします。
次に、チャートを見やすくカスタマイズします。
- ローソク足への変更:ツールバーにあるローソク足のアイコンをクリックします。
- 拡大・縮小:ツールバーの虫眼鏡アイコン(+/-)でチャートの表示期間を調整します。
- 色の変更:チャート上で右クリックし、「プロパティ」を選択します。ここで、背景色やローソク足の色(陽線/陰線)などを自分好みに変更できます。
- 時間足の変更:ツールバーにある「M1(1分足)」「H1(1時間足)」「D1(日足)」などのボタンで、時間足を簡単に切り替えられます。
⑥ テクニカル指標(インジケーター)を追加する
次に、テクニカル分析を行うためにインジケーターをチャートに追加します。
画面左側の「ナビゲーター」ウィンドウ内に、「インディケータ」(会社によっては「罫線分析ツール」)という項目があります。これをダブルクリックすると、搭載されているインジケーターのリストが展開されます。
例えば、移動平均線を表示させたい場合は、「Moving Average」を見つけて、それをチャート画面上にドラッグ&ドロップします。すると、パラメータ設定のウィンドウが表示されるので、期間や色などを設定して「OK」をクリックします。これでチャート上に移動平均線が表示されます。他のインジケーターも同様の手順で簡単に追加できます。
⑦ 注文・決済を行う
分析の準備が整ったら、いよいよ注文です。
- 新規注文:ツールバーの「新規注文」ボタンをクリックするか、チャート上で右クリックして「注文発注」→「新規注文」を選択します。注文画面が表示されたら、「通貨ペア」「数量(ロット)」「ストップロス(損切り)」「テイクプロフィット(利益確定)」などを設定し、「成行売り」または「成行買い」ボタンをクリックして発注します。
- 決済:保有しているポジションは、画面下部の「ターミナル」ウィンドウの「取引」タブに一覧表示されます。決済したいポジションの行の右端にある「×」ボタンをクリックすると、即座に決済が完了します。一部だけ決済したい場合などは、そのポジションをダブルクリックして決済注文画面から行います。
まずはデモ口座で、これらの操作を一通り試し、自信がついてから本番の取引に移行することをおすすめします。
【スマホアプリ版】MT4の始め方と基本的な使い方
PC版だけでなく、スマートフォンやタブレット用のMT4アプリも提供されており、外出先でも手軽にチャート分析や取引ができます。ここでは、スマホアプリ版(iOS/Android共通)の基本的な使い方を解説します。
アプリのダウンロードとログイン
まず、お使いのスマートフォンのアプリストア(iPhoneならApp Store、AndroidならGoogle Play)で「MT4」または「MetaTrader 4」と検索し、公式アプリをダウンロード・インストールします。
アプリを起動すると、最初にデモ口座を開設するか、既存の口座にログインするかを尋ねられます。すでにPC版などで利用するFX会社の口座を持っている場合は、「既存のアカウントにログイン」を選択します。
次に、サーバーの検索画面が表示されるので、口座を開設したFX会社のサーバー名の一部(例:oanda, rakutenなど)を入力して検索します。 該当するサーバーが見つかったらそれを選択し、PC版と同じ「ログインID」と「パスワード」を入力してログインします。
基本画面の見方(気配値・チャート・トレード)
スマホアプリ版のMT4は、画面下部のタブを切り替えることで主要な機能にアクセスします。
- ① 気配値:各通貨ペアの現在の売値(Bid)と買値(Ask)が一覧で表示される画面です。ここから取引したい通貨ペアを選んで、チャートを表示したり、新規注文を出したりできます。表示する通貨ペアは、右上の「+」ボタンから追加したり、編集ボタンで並べ替えたりできます。
- ② チャート:選択した通貨ペアのチャートが表示される画面です。画面上部のボタンで時間足の切り替え、十字カーソルでの価格確認、インジケーターの追加(
f
のアイコン)、描画ツールの使用(図形のアイコン)などができます。ピンチイン・ピンチアウトでチャートの拡大・縮小も直感的に行えます。 - ③ トレード:現在の口座残高、有効証拠金、そして保有しているポジションの一覧が表示される画面です。各ポジションの現在の損益状況をリアルタイムで確認できます。ポジションを長押しすると、決済や変更のメニューが表示されます。
- ④ 履歴:過去の取引履歴を確認できる画面です。日、週、月単位で損益を集計して表示することも可能です。
- ⑤ 設定:各種設定や口座情報の確認ができる画面です。
注文・決済方法
スマホアプリでの注文・決済は非常にシンプルです。
- 新規注文:
- 「気配値」タブで取引したい通貨ペアをタップし、「新規注文」を選択する。
- または、「チャート」画面右上の「トレード」ボタンをタップする。
- 注文画面で、注文種別(成行注文など)、ロット数、損切り(Stop Loss)、利食い(Take Profit)価格を設定します。
- 最後に画面下部の「売(Sell)」または「買(Buy)」ボタンをタップして発注完了です。
- 決済:
- 「トレード」タブで、決済したい保有ポジションを長押しします。
- 表示されたメニューから「クローズオーダー」または「決済」を選択します。
- 確認画面が表示されるので、画面下部の「(損益額)で決済」という黄色いボタンをタップすれば決済が完了します。
スマホアプリは、PC版の補助として使うのに非常に便利です。急な相場変動があった際に外出先からポジションを管理したり、空き時間にチャートをチェックしたりと、柔軟なトレードライフを実現してくれます。
MT4が使えるおすすめの国内FX会社7選
MT4を利用するには、対応しているFX会社を選ぶ必要があります。しかし、国内だけでも多くの選択肢があり、どこを選べば良いか迷ってしまうかもしれません。ここでは、各社の特徴を踏まえ、おすすめの国内FX会社を7社厳選して紹介します。
※スプレッド等の取引条件は変動する可能性があるため、必ず各社の公式サイトで最新の情報をご確認ください。
FX会社名 | 通貨ペア数(MT4) | 米ドル/円スプレッド(参考値) | 特徴 | 参照元 |
---|---|---|---|---|
OANDA証券 | 約70種類 | 0.3銭原則固定 | 独自開発の強力なインジケーター(OANDA Lab)が豊富。1通貨から取引可能。 | OANDA証券 公式サイト |
楽天証券(楽天MT4) | 24種類 | 0.2銭原則固定 | 楽天グループの安心感。取引で楽天ポイントが貯まる・使える。 | 楽天証券 公式サイト |
外為ファイネスト | 30種類 | 0.2銭〜 | 業界最狭水準のスプレッドと高い約定力に定評。EA利用者に人気。 | 外為ファイネスト 公式サイト |
ゴールデンウェイ・ジャパン(FXTF) | 30種類 | 0.2銭原則固定 | 日本でいち早くMT4を導入した老舗。便利なオリジナルツールが充実。 | ゴールデンウェイ・ジャパン 公式サイト |
IG証券 | 約100種類 | 0.3銭原則固定 | 圧倒的な取扱銘柄数。FX以外に株価指数や商品CFDもMT4で取引可能。 | IG証券 公式サイト |
JFX | 41種類 | 0.2銭原則固定 | スキャルピングを公式に歓迎。約定スピードの速さに強み。 | JFX株式会社 公式サイト |
FOREX.com | 84種類 | 0.3銭〜 | 世界的なブローカー。豊富な通貨ペアと高性能な分析ツールが魅力。 | FOREX.com(ゲインキャピタル・ジャパン)公式サイト |
① OANDA証券
OANDA証券は、独自開発のインジケーターやツールが非常に豊富なことで知られるFX会社です。 世界中のOANDAトレーダーの注文状況を可視化する「オーダーブック」など、他社にはないユニークな分析ツールをMT4に追加して利用できます。これらのツールは相場の需給を判断する上で非常に強力な武器となり、多くのトレーダーから支持されています。また、取引コースが複数用意されており、初心者から上級者まで幅広いニーズに対応しています。最小取引単位が1通貨からと非常に小さいため、少額からリアルな取引を始めたい方にも最適です。
② 楽天証券(楽天MT4)
大手ネット証券である楽天証券が提供する「楽天MT4」は、楽天グループならではの安心感と、楽天ポイントが貯まる・使えるというユニークなメリットが魅力です。 取引量に応じて楽天ポイントが付与され、貯まったポイントを証拠金として利用することもできます。スプレッドも業界最狭水準であり、総合的なサービスレベルの高さが特徴です。日頃から楽天のサービスを利用している方にとっては、親和性が高く、始めやすい選択肢と言えるでしょう。
③ 外為ファイネスト
外為ファイネストは、特にEA(自動売買)を利用するトレーダーから高い評価を得ているFX会社です。 その理由は、業界最狭水準のスプレッドと、スリッページ(注文価格と約定価格のズレ)が起こりにくい高い約定力にあります。EAはサーバーとの通信速度や約定力がパフォーマンスに直結するため、これらの条件が優れている外為ファイネストは、安定したEA運用を目指すトレーダーにとって非常に魅力的な環境です。
④ ゴールデンウェイ・ジャパン(FXTF)
ゴールデンウェイ・ジャパン(旧FXTF)は、日本のFX会社としてはいち早くMT4の提供を開始した、いわば国内MT4のパイオニア的存在です。 長年の実績とノウハウを活かし、トレーダーの声を反映した数多くのオリジナルインジケーターやツールを無料で提供しています。例えば、指定した時間に経済指標をチャート上に表示するツールや、短期・中期・長期のトレンド方向を一覧表示するツールなど、かゆい所に手が届く便利な機能が揃っています。
⑤ IG証券
IG証券の最大の特徴は、その圧倒的な取扱銘柄数です。 FX通貨ペアは約100種類と非常に豊富で、メジャー通貨はもちろん、他の国内業者では扱っていないようなエキゾチック通貨ペアの取引も可能です。さらに、MT4プラットフォーム上で、FXだけでなく株価指数(日経225やNYダウなど)や商品(金や原油など)のCFD取引も行えるため、一つの口座で様々な市場に分散投資したいトレーダーにとっては最適な選択肢となります。
⑥ JFX
JFXは、「MATRIX TRADER」という自社ツールが有名ですが、MT4も提供しています。同社の最大の特徴は、公式サイトでスキャルピングを全面的に歓迎している点と、その取引を支える業界最速水準の約定スピードです。約定力が高く、サーバーも安定しているため、短期売買をメインに考えているトレーダーや、約定の速さを重視するEAを利用したい場合に有力な候補となります。
⑦ FOREX.com(ゲインキャピタル・ジャパン)
FOREX.comは、世界180カ国以上でサービスを展開するグローバルな金融グループの一員であり、そのグローバルネットワークを活かした豊富な情報量と80種類を超える多彩な通貨ペアが魅力です。 また、高性能なチャート分析ツール「TradingView」も利用できるなど、トレーダーの分析をサポートする体制が整っています。EAホスティングサービス(VPS)も提供しており、EAの安定稼働を求めるトレーダーにとっても心強い存在です。
MT4対応のFX会社を選ぶ際の4つのポイント
数あるMT4対応FX会社の中から、自分に最適な一社を見つけるためには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。ここでは、会社選びで特に注目すべき4つのポイントを解説します。
① 取引コスト(スプレッドや手数料)で選ぶ
取引コストは、トレーダーの収益に直接影響する最も重要な要素の一つです。 FXの取引コストの大部分を占めるのが「スプレッド」(売値と買値の差)です。このスプレッドは、狭ければ狭いほどトレーダーにとって有利になります。
例えば、米ドル/円のスプレッドが0.2銭の会社と0.5銭の会社では、1万通貨の取引を1回行うごとに30円の差が生まれます。取引回数が増えれば、この差は無視できない金額になります。
FX会社を選ぶ際は、公式サイトで提示されているスプレッドを必ず比較しましょう。特に、自分がメインで取引したい通貨ペアのスプレッドは要チェックです。また、「原則固定」とされていても、早朝や経済指標発表時など、市場の流動性が低下する時間帯にはスプレッドが拡大することがあります。各社のスプレッド提示率や安定性も、口コミなどで確認すると良いでしょう。
② 取扱通貨ペアの豊富さで選ぶ
取引したい通貨ペアが決まっている場合は問題ありませんが、様々な通貨ペアのチャンスを狙いたい、あるいは今後取引対象を広げていきたいと考えている場合は、取扱通貨ペアの豊富さが重要になります。
多くの会社は米ドル/円やユーロ/ドルといったメジャー通貨ペアを網羅していますが、トルコリラや南アフリカランドといった高金利通貨、あるいはさらにマイナーなエキゾチック通貨ペアの取扱いは会社によって大きく異なります。IG証券やFOREX.comのように100種類近い通貨ペアを扱う会社もあれば、20〜30種類程度に絞っている会社もあります。自分の投資戦略に合った通貨ペアを取引できるかどうか、事前に確認しておくことが大切です。
③ 約定力の高さで選ぶ
約定力とは、トレーダーが出した注文を、意図した通りの価格とタイミングで成立させる能力のことです。 約定力が低いと、以下のような不利益が生じる可能性があります。
- スリッページ:注文した価格と実際に約定した価格がズレてしまう現象。特に不利な方向へのスリッページは、コストの増加につながります。
- 約定拒否:注文そのものがサーバーに拒否されてしまい、取引機会を逃してしまうこと。
特に、数pipsの利益を狙うスキャルピングや、厳密な価格でのエントリー・決済が求められるEA(自動売買)においては、約定力の高さが死活問題となります。各社は「約定率〇〇%」といった形で実績を公表している場合があるので、そうした客観的なデータや、実際に利用しているトレーダーの評判を参考に、約定力に定評のある会社を選ぶことをおすすめします。
④ 日本語のサポート体制で選ぶ
MT4は海外製のプラットフォームであるため、操作方法やトラブルに関して疑問が生じることも少なくありません。そんな時に頼りになるのが、FX会社が提供するサポートデスクです。
特に初心者の方やPC操作に不安がある方は、日本語のサポート体制が充実している会社を選ぶと安心です。 確認すべきポイントは以下の通りです。
- サポート対応時間:平日の日中だけでなく、夜間や24時間対応しているか。為替市場は24時間動いているため、夜間に取引する方にとっては重要です。
- サポートチャネル:電話、メール、チャットなど、どのような問い合わせ方法が用意されているか。急ぎの要件は電話やチャットが便利です。
- サポートの質:MT4に関する専門的な質問にも的確に答えてくれるか。会社の公式サイトにMT4に関する詳しいマニュアルやFAQが整備されているかも、サポートの質を測る一つの指標になります。
万が一の時にスムーズに問題解決できるかどうかは、ストレスなく取引を続ける上で非常に重要な要素です。
MT4に関するよくある質問
ここでは、MT4に関して多くの人が抱く疑問について、Q&A形式で分かりやすくお答えします。
MT4は無料で利用できますか?
はい、完全に無料で利用できます。
MT4対応のFX会社の口座を開設すれば、誰でも無料でプラットフォームをダウンロードし、利用できます。これには、リアルタイムのチャート表示、50種類以上のテクニカル指標、描画ツール、デモトレード機能など、すべての基本機能が含まれます。
なぜ無料なのかというと、FX会社が開発元のメタクオーツ社にライセンス料を支払い、その費用を負担する形で顧客に提供しているためです。トレーダー側で利用料が発生することはありませんので、安心して利用できます。
MT4はMacでも使えますか?
はい、多くのFX会社がMac版のMT4を提供しており、利用可能です。
ただし、Windows版が基本となっているため、すべてのFX会社がMac版に対応しているわけではありません。MT4をMacで利用したい場合は、口座開設を検討しているFX会社の公式サイトで、Macへの対応状況を必ず確認してください。
もし、利用したいFX会社がMac版を提供していない場合でも、「Wine」という互換性レイヤーソフトを導入したり、「仮想デスクトップサービス(VPS)」を利用したりすることで、Mac上でWindows版のMT4を動作させる方法もありますが、これらはある程度のPC知識が必要になります。基本的には、公式にMac版を提供している会社を選ぶのが最も簡単で確実です。
MT4は誰でも使えますか?
はい、MT4に対応しているFX会社で口座を開設すれば、年齢などの条件を満たしていれば誰でも利用できます。
FXの口座開設には、一般的に「20歳以上(または18歳以上)であること」「安定した収入があること」「金融資産が一定額以上あること」などの審査基準がありますが、これらはFX取引を行うための一般的な条件です。MT4を利用するために特別な資格やスキルが必要になるわけではありません。
ただし、前述の通り、MT4は高機能な分、操作に慣れが必要です。FX初心者の方は、まずデモ口座でじっくりと操作方法を練習してから、実際の取引に移行することをおすすめします。
MT4とFX会社の取引ツールはどちらが良いですか?
これは一概にどちらが良いとは言えず、トレーダーの目的やスタイルによって最適なツールは異なります。
- MT4がおすすめな人
- EA(エキスパートアドバイザー)を使って自動売買をしたい人。
- カスタムインジケーターを追加して、高度で専門的な分析をしたい人。
- チャートの配色やレイアウトを細部まで自分好みにカスタマイズしたい人。
- 世界標準のプラットフォームで、豊富な情報やノウハウを参考にしたい人。
- FX会社の独自ツールがおすすめな人
- 分析よりも、シンプルで直感的な操作性を重視する人。
- スキャルピングなど、ワンクリックで素早く発注したい裁量トレーダー。
- ツールのインストールなどをせず、ブラウザ上ですぐに取引を始めたい人。
- そのFX会社独自のニュース配信や分析レポートなどの情報コンテンツを活用したい人。
分析や自動売買の「拡張性」を求めるならMT4、裁量トレードの「手軽さ」や「スピード」を求めるなら独自ツール、という棲み分けが一般的です。両方の長所を活かすために、分析はMT4、発注は独自ツールと使い分ける上級者もいます。
まとめ
本記事では、世界中のトレーダーに愛用されている高機能取引プラットフォーム「MT4」について、その基本から具体的な使い方、メリット・デメリット、そしておすすめのFX会社まで、幅広く解説しました。
最後に、この記事の要点をまとめます。
- MT4はロシアのメタクオーツ社が開発した、世界標準のFX取引プラットフォームです。
- 最大の魅力は、プロ仕様の高度な分析機能や自動売買(EA)機能を無料で利用できる点にあります。
- 50種類以上の標準インジケーターに加え、カスタムインジケーターやEAを追加することで、機能を無限に拡張できます。
- デメリットとして、高機能ゆえに操作に慣れが必要な点や、FX会社によって取引条件が異なる点が挙げられます。
- 後継のMT5は基本性能で上回りますが、EAやインジケーターの豊富さでは、今なおMT4に絶大なアドバンテージがあります。
MT4は、単なる取引ツールではなく、あなたのトレーディング戦略を具現化し、FX取引の可能性を大きく広げてくれる強力なパートナーとなり得ます。特に、テクニカル分析を深く追求したい方や、感情に左右されないシステム的な取引を目指す方にとっては、これ以上ない選択肢と言えるでしょう。
この記事を読んでMT4に興味を持った方は、まずは本記事で紹介したFX会社の中から気になる一社を選び、ノーリスクで試せる「デモ口座」を開設してみてはいかがでしょうか。実際にMT4に触れ、そのパワフルな機能を体感してみることが、成功するトレーダーへの第一歩となるはずです。